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古民家再生プロジェクト!~地域から愛される憩いの場へ~

 11月中旬、伊草地区にて、古民家再生に向けた「かわじま古民家おひろめ会」が開催されました。

90年の古民家は、元家主が「地域の皆さんのために活用してほしい」と町へ寄付されたもの。川島町の他、東洋大学や古民家利活用検討委員会の協力により、地域コミュニティの場として再生プロジェクトが発足されました。

 

 今回私が興味を持ったのは、伝え聞いた話によると、町へ寄付して下さった菅間家は、江戸時代よりも前からこの地域に住んでおり、伊草地区にある伊草神社の前身となる神社にも関わりのある由緒ある家柄とのこと。

そして、古民家がコミュニティの場としてどのように活用されていくか興味関心があったことから取材させていただきました。

 

 

イベントで体験した、古き良き文化と近代文化の融合

 

地元民とはいえ初めて行く場所なので、楽しみの中にも緊張しながら歩いて行きました。私も通った伊草小学校を過ぎ、会場が近づくにつれ、枯れ葉が燃える懐かしい香り。イベントの一つとして焼き芋づくりがされていました。そして、「ただいま」と言いたくなるような落ち着く佇まいの古民家が迎えてくれました。

当日はこの秋一番の寒さでしたが、甘酒で体が温まりました。「さまちか」開発の地元のお米で作られた「麹の声きいちゃいました。」です。外では、宮大工さんによるカンナ削り体験、竹で作ったモルックというフィンランド発祥のボーリングのようなゲーム体験コーナーがありました。屋内では、3DまちあるきやVR体験コーナーもあり、古き良きものと文明の発展による近代的なものが入り交じった空間となっていました。

 来訪者は、お子さん、親御さん、ご高齢の方など幅広く、そして、近所の方だけでなく、イベント運営側の大学生や役場の方も一緒になってあちこちのエリアで笑顔が見受けられました。この“ごちゃまぜ感”がとても良い雰囲気でした。

 

             

 

地域のみんなで創造していくコミュニティの場づくり

 

川島町政策推進課の江間さんにお話を伺いました。

「公民館は貸館なので、ここは自由に来て息抜きやおしゃべりできる空間になれたらと考えています。夕方には勉強やゲームをやりに来るお子さんがいても良いし、家庭菜園で余った野菜をここで活用するのも良いと思います。」

 

居間を中心に、庭を眺める縁側、応接間など各エリアで賑わっていたり、時に静かな空間で心落ち着かせている人が浮かんできました。

 

「今回は伊草地区の方限定で周知しました。まだ一階を片付けたばかり。これから工事を始めて、スモールスタートで、使っていきながら、地域の人が必要なことを改良していけたらと考えています。その先に、地域外の人にも活用してもらえたら嬉しいですね。」

 

「ここが共助の場になってほしい」とも話して下さった江間さん。どうしても自助や公助では限界がある。そんな時、気心知れた人同士で助け合う“共助”は、私自身がこの町で生まれ育ちながら、祖父母や親世代の交流を見聞きし、実際にご近所に助けてもらった時に深く感じてきましたし、あったら良いなと願う繋がりです。

 

また、プロジェクトに協力いただいている東洋大学都市環境デザイン学科の二宮先生にもお話を伺うことができました。地域・課題のニーズに合わせた、空き家や古民家の利活用を研究されているそうで、研究室の学生も地域調査や古民家を整えるお手伝いをして下さっています。

 

「ここがサード・プレイスになってくれたらと思います。家や学校、職場でもない第3の場所。先にどうするかではなく、残す部分とどこを工事入れるかを利用する人と話し合いながらつくってもらえたらと思っています。」

 

これもまた、私自身が地元にこういう場所があったら良いなと願っていました。お店とも違う寛げる場所。公民館とも違う活動できる場所。

 

お二人が共通して話していたのが、「地域の人にとって」と「皆でつくっていく」という視点でした。来訪者が付箋にアイディアを書いて貼ったり、アンケートにも意見を記述するスペースがありました。一緒につくっていく体験ができて嬉しかったです。

 

以上、今回はおひろめ会としての賑わいでしたが、実際にどのような場所に変化していくか、今から楽しみです。伊草地区民の一人として、菅間家のご先祖やご子孫の皆さんが安心していただけるよう見守っていきたいと思います。

 

川島町地域ライター 笛木由美