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【冬の郷土料理】町内唯一の黒い呉汁!「泉の里」安達さんの情熱に迫る!

 

 趣味は「歩くこと」。生まれも育ちも川島町、生粋の川島っ子!地域ライターの笛木由美です。

 このマガジンは「今日も誰かが町で何かを頑張っている」の発掘をコンセプトに、川島町の地域紹介情報、商品開発秘話、イベント情報などを発信し、川島町のファンを増やし、町外から川島町に遊びに来たい!と思っていただく為に、川島町で頑張っている人を掘り起こそうと立ち上がったプロジェクトです。

 今回は、町内外問わず人気のお店「泉の里」の安達さんの情熱に迫りました!

 

 川島町の冬の郷土料理「呉汁」をご存じですか?大豆をすりつぶしたものを「呉」といい、それと野菜など具材を合わせ、味噌汁にしたものです。家庭ごとに特色がありますが、我が家でいうと、冬瓜と葉物野菜が入った呉汁が思い出に残っています。すりつぶされた大豆の舌触りが特徴で、寒い冬に食べると体が温まります。

 さて、川島町では、この呉汁を「かわじま呉汁」として食べられるお店が町内のあちこちにあります。20221月現在12店舗。寒い冬にこそぜひ味わっていただきたいです。こちらのブログでは、店舗ごとのオリジナルのかわじま呉汁を紹介するだけでなく、そのお店で働く方にもスポットをあて、取材していきたいと思います。

今回は、私自身、お蕎麦を食べに行っている「手打ちそば 泉の里」へご訪問。店主である安達 光二さんにお話を伺いました。直接お話を伺うのは初めてでした。

そこには、“美味しいお蕎麦屋さん”を超えて、食材のみならず、川島町の素質をも引き出し、ブランディングする行動力を兼ね備えた、町おこし隊の先駆者、安達さんがいらっしゃいました。

なぜ手打ち蕎麦職人に?なぜ川島で開業?

埼玉県草加市出身という安達さん。手打ち蕎麦職人になろうと思ったきっかけは、おじさんが蕎麦屋を経営していたそうで、手打ち蕎麦に切り替えたところ「すごく美味しくて感動したんですよ」とのこと。甲子園を目指す野球少年だった安達さんは、高校卒業後、おじさんの元へ修行に。静岡県は富士市泉の里本店で13年の修行の後、200311月に川島町にて独立開業されました。

ここで疑問に思うのが、なぜ川島町での開業なのか。ゴルフが趣味という安達さんのおじさん。川島近郊でゴルフされていた際に、その繋がりからちょうど居抜き物件として紹介されたことから今に至るそうです。このご縁があったからこそ、後記する町への貢献に繋がっていると言っても過言ではありません。川島町に安達さんを引き寄せてくださったこと感謝です。

 

食材やメニューへの想い

 安達さんの「生産者の努力があって、今の味になっているんですよ」という言葉が、とても印象的でした。「どこの誰が作っているのか、知っている方が安心する」とお話して下さいましたが、蕎麦屋として基本となる、蕎麦粉、カツオ節、醤油だけにとどまらず、お米や野菜など、最大限に生産者がわかる食材を使用しているとのこと。

今は店頭に置かなくなったそうですが、蕎麦粉、カツオ節、醤油などの食材について、その特徴も記載されたものを置いていたそうです。拝見しましたが、生産者への愛を感じました。“素材にこだわっている”とはある意味言いやすいものですが、安達さんの“こだわり”にはしっかり根拠や信念がありました。「都会のお店に負けない美味しさを提供したいんですよね。田舎だから田舎らしい味ではなく」という言葉にも、料理人としてのプロ意識を感じました。

 

川島ブランド「かわじますったて」「かわじま呉汁」立役者の一人

川島町商工会のブランド委員会を中心に「かわじま呉汁」の先駆けとなる「かわじますったて」の開発に向けて、地元の方に作ってもらったすったてを食べたそうです。

「食べてみたら、味が薄く感じた。お金を出して町外の人の為に提供するとなると、ちょっと違うと思ったんですよ」。確かに家で作るのは、すったゴマに味噌と水を入れるというシンプルさ()家庭の味としては良いのでしょうけれど。

川島ですったてを食べるようになった歴史背景から始まり、「出丸地区はタマネギが入っていたり、伊草地区は砂糖を入れて甘いのを好むみたいですね」。川島で生まれ育った私ですが、初耳な内容が多く、川島町の食文化にとても詳しくて驚きました。伊草では確かに砂糖多めに入れます(笑)。

改めて、ブランド委員会の人に「安達さんが作るすったてを作ってほしい!」と頼まれて、すったて用のつゆを作ったそう。埼玉B級ご当地グルメ王決定戦にも参戦し、初出場で4位になり、NHKの番組でも取り上げられ、お客さんが増えたそうです。その後、3年目で優勝するまでになりました。こういった功績にも、「みんなで成し遂げていったものです」と謙虚な安達さん。

次の挑戦として、冬のグルメを考えようとなり、川島の冬料理として、けんちん汁、すいとんが候補としてあがり、大豆たっぷり野菜たっぷり入った呉汁が選ばれたそうです。冬といえば鍋ということで、町民の家庭での食べ方とは違うけれど、「これまでの伝統を守りつつ、町外の人にも食べてもらいやすいように考えました」とのこと。

安達さんの功績は、B級グルメにとどまらず、小学校で呉汁教室を開催し、「川島は何もないではなく、子ども達に川島の良さを知ってもらいたい」と食育の一環としての取り組み(コロナ禍の影響で休止)、地産地消の金ゴマ作りやレンタルファームにも、商工会や仲間と切磋琢磨されてきたお話を伺いました。お話をお聴きする中でも端々に、「どうしたら呉汁でB級グルメ優勝できますかね」「どうしたら川島に人来てくれますかね」と、その情熱が伝わってきました。

取材した週末には、町制施行50周年記念事業として毎週土曜日(9:0011:00)に泉の里隣のグリーンハウス田中で、川島朝市を開催、コロナ禍で町役場での開催が難しくなったものを、新たな形で仲間と企画されたとのこと。安達さんの行動力には今後も目が離せません。

趣味のタナゴ釣りも、子ども達を応援する父親としての安達さんも、保護犬だったという愛犬のことも、常に目の前のことに誇りと情熱を注がれている人柄が現れていました。きっと奥様や他のご家族、その先のお客様にも…

 

 

~ 食レポ ~

  

  • かわじま呉汁そば ¥1,500

                   

 泉の里のかわじま呉汁のオリジナルは、唯一の「そば」であること。しかも「田舎そば」です。

よく見かける白く細い麺は、風味が特徴なのに対して、田舎そばは、黒っぽく太い麺。噛みしめながら、味わいます。殻ごと石でひき、甘皮を剥かないので、粗っぽくなりやすいそうです。でもそれが本来の蕎麦の美味しさなのだとか。

 

泉の里一番のおすすめも「田舎太打ちせいろ」¥900 10食限定!

 

お椀よりも大きめのすり鉢に黒ごまが入ったものが運ばれ、「しっとりするまで、ゴマを擂って下さい」とのことだったので、擂ってみる。擂る毎に、黒ゴマの香りがふんわり上がってきました。

そして、運ばれてきた呉汁そば。メニューで見ていましたが、実際に目の前にすると驚く黒さ。これは、竹炭の黒なのだそう。先ほど擂った黒ゴマを鍋に入れて、何もなくなったすり鉢に鍋の具やつゆ、そばを入れて食べます。

先ずは気になる田舎そばのみを食べてみました。噛みごたえがあり、細麺とは違い、噛むことで蕎麦の風味がふわっと広がってきます。短めの麺というのも特徴のようです。

さぁ、呉汁と食べてみます。キノコ数種類に薄切りされた人参やカボチャ、白菜など野菜がたくさん入っており、竹炭は無味無臭らしいですが、食材の旨味に黒ごまの香りが加わります。そして、川島町民としては、これこれ!この大豆の舌触り。そして砕かれた大豆が喉を通る感じ。田舎そばとの相性抜群でした。呉汁と蕎麦それぞれの良さが残ったままの、良いとこ取り。細い蕎麦だと呉汁に負けていたと思います。田舎そばだからこその深い味わいですね。

 

泉の里の自慢である田舎そばと呉汁を一気に味わえる一品でした。ごちそうさまでした。

 

 

手打ちそば 泉の里

住所:埼玉県川島町吹塚755-1

電話:049-291-0132

mail:kawajimaizuminosato@gmail.com

HP:https://izumi-no-sato-kawa.jimdofree.com/

営業時間:11:0014:30 17:0022:00(ラストオーダー21:00

定休日:毎週水曜日